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領域について(ごあいさつ)

ごあいさつ

科研費新学術領域研究 開始にあたり

平成22年度の科研費新学術領域として「電磁メタマテリアル」が採択されました。「メタ」とつくとその本来の意味である「超」という以前に何か怪しいものという印象があります。メタマテリアルを用いると、ハリーポッターの透明マントよろしく透明人間になれるのですから、普通の物理学から逸脱する物質のようにも思われています。しかし、このような奇妙な物質(人工物質)が実在することが今世紀に入って実証され、世界的な研究のブームが起こっています。

さて、そのメタマテリアルですが、物質の電磁波(光)に対する応答は、誘電率と透磁率によって表わされます。しかし、ランダウとリフシッツの電磁気学の教科書にあるごとく、テラヘルツ以上の周波数領域では物質は磁気的な応答は示さず、透磁率は1とおくべきだと教えられてきました。ところが、電磁波の波長よりも十分小さい金属製リング (分割リング共振器)が磁気的な応答を示すこと、即ち、透磁率が1からずれ、場合によっては負にもなることが2000年頃から明らかになってきました。しかも、誘電率も同時に負になると屈折率が負になることも実験的に示されました。これは、マイクロ波領域での実証でしたが、構造を小さくすれば、光領域にも適用可能です。負の誘電率並びに負の透磁率の他にも、誘電率と透磁率が通常ではありえないような値をとる物質は、いろいろ奇妙な性質を持つことも明らかになってきました。

我が国では、メタマテリアルの組織だった研究が欧米に比べて遅れ、この新学術領域研究が最初の組織だったプロジェクト研究となります。しかし、マイクロ波領域では既に本領域のメンバーである真田らを中心にメタマテリアルの実用研究が進んでおり、テラヘルツや光領域でも作製法や偏光制御に関してユニークな研究がなされています。周波数領域としてはマイクロ波から光領域までを包含し、これまで交流の少なかった分野間を有機的に連携させつつ研究を進めていくのが他の国のプロジェクトにはない特徴です。プロジェクトは、6つの計画研究から成りますが、計画研究ではカバーできない研究や次の展開のために公募研究も含まれます。メタマテリアルは新しい概念のため、新たに参入するのに閾が高く感じられたり、研究の進め方がよくわからなかったりすることがあると思われます。そのため、計画研究間や公募研究の間のコミュニケーションを十分図りつつ、領域を運営していきたいと考えております。何とぞ、皆様方のご協力をよろしくお願いいたします。

領域代表 萩行正憲

 
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